Q.事故後に頚椎(頸椎)椎間板ヘルニアの手術をした場合に後遺障害(後遺症)となりますか。

[ヘルニア,後縦靱帯骨化症,素因減額,脊柱管拡大術(椎弓拡大形成術),脊柱管狭窄]

A.

事故前に存在していた頸椎(頚椎)椎間板ヘルニアが,発症あるいは症状悪化して,手術が必要となることが多くあります。
後遺障害等級認定がされるものの素因減額の対象となりやすいとも言えます。
すなわち,事故により手術が必要となったのか,それとも事故がなくともいずれは手術が必要となったのか,争点となります。


1 手術の適用と,どのような手術がされるのでしょうか。

上肢の運動・感覚障害あるいは激しい上肢痛の持続または歩行障害,排尿障害がある場合には,手術が適応となります。

代表的手術としては,前方固定術,脊柱管拡大術(椎弓拡大形成術)があります。

脊柱管拡大術(椎弓拡大形成術)は,骨を移植して頸椎(頚椎)後方組織を保存するものです。


2 手術と素因となる疾患との関係はどのように考えられますか。

事故前から脊髄症(後縦靱帯骨化症)と腰部脊柱管狭窄症,ヘルニアがあったため,事故後の症状のどれが本件事故に起因するかの判断が医師でも難しいという場合があります。

つまり,事故前から有していた疾患である,頸椎後縦靱帯骨化症,腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は,本件事故で被害者の身体に加わった衝撃と共に,本件事故後の症状の原因となったものといわざるを得ないのです。
「その場合に手術を受けたことが本件における治療費の高額化につながっていると認められるところ,これらの手術は原告の本件事故前からの上記各疾患(後縦靱帯骨化症,脊柱管狭窄症,腰椎椎間板ヘルニア)の治療であるというべきであることなどの諸事情を総合考慮すると,原告が本件事故後に身体に痛みやしびれ等の症状が発生又は悪化し入通院や休業などを余儀なくされて損害を被ったことについて被告が賠償すべき範囲は,損害額全体の6割とするのが相当である。」
仙台地裁 平成26年10月15日判決
事件番号 平成24年(ワ)第908号 損害賠償請求事件
<出典> 自保ジャーナル・第1943号(平成27年6月11日掲載)

むち打ちや脱臼、脊髄損傷など、幅広い疑問にもお応えします。ご相談は埼玉の弁護士、むさしの森法律事務所にご連絡ください。

0120-56-0075 受付時間:月~金(土日祝日も対応)午前9時30分~午後10時

フォームからのご相談予約はこちら

ページの先頭へ戻る