Q.循環器障害の後遺障害等級はどうなっていますか。

[ペースメーカー,大動脈,循環器,心筋虚血,心臓,解離,除細動器]

A.

循環器障害としては次の通りです。

①心機能低下(9級もしくは11級)

②除細動器またはペースメーカーを植え込んだもの(7級もしくは9級)

③心臓の弁を置換したもの(9級もしくは11級)

④大動脈解離(11級)

1 「心機能低下」とはどういうことですか。   (クリックすると回答)


心機能の低下による運動耐容能の低下の程度により次のように認定されます。

ア 心機能の低下による運動耐容能の低下が中等度であるもの→9級

例えば,平地を健康な人と同じ速度で歩くのは差し支えないものの,平地を急いで歩く,健康な人と同じ速度で階段を上るという身体活動が制限されるものです。

イ 心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度であるもの→11級

例えば,平地を急いで歩く,健康な人と同じ速度で階段を上るという身体活動に支障がないものの,それ以上激しいか,急激な身体活動が制限されるものです。

心機能が低下したもの=通常,療養を要するものであることをいいます。
ただし,次のいずれにも該当する場合を除きます。
(ア)心機能の低下が軽度にとどまるもの
(イ)危険な不整脈が存在しないこと
(ウ)残存する心筋虚血が軽度にとどまること

心筋虚血とは,
局所を流れる血液が正常より少なくなる状態を局所的貧血といいますが,その程度が強くて全くなくなる状態が虚血です。
心筋虚血とは心筋に生じた虚血をいいます。

2 「除細動器またはペースメーカーを植え込んだもの」とはどういうことですか。  (クリックすると回答)


ア 除細動器を植え込んだもの→7級
イ ペースメーカーを植え込んだもの→9級
(注)除細動器またはペースメーカーを植え込んだもの+心機能が低下したもの
については,併合の方法で準用等級が決められます。

除細動器とは,心室頻拍あるいは心室細動を検出して心室頻拍には低エネルギー通電を,心室細動には高エネルギー通電を行う(植え込み型)システムです。

これに対して人工的に心臓の調律を維持する機器が(人工心臓)ペースメーカーです。

心室細動とは,個々の心室筋細胞は収縮,弛緩を繰り返すものの心室全体としての収縮,弛緩は消失してしまって心臓としてのポンプ作用がほとんど見られない状態をいいます。

3 「房室弁または大動脈弁を置換したもの」とはどういうことですか。  (クリックすると回答)


ア 継続的に凝血薬療法を行うもの→9級
イ アに該当しないもの     →11級

房室弁とは,心房と心室の間にある弁のことです。

大動脈弁とは,左心室から大動脈への出口にある半月弁のことです。

4 「大動脈に解離を残すもの」とはどういうことですか。  (クリックすると回答)


偽腔併存型の解離を残すものについては→11級

大動脈壁の三層のうち,内膜の亀裂から血液が流入し,中膜が二層に解離して大動脈内腔が真腔と偽腔に分離して,いずれの腔にも血流が見られる状態で,外壁が膨隆している状態を解離性大動脈瘤と呼び,膨隆のない場合を大動脈解離と呼びます。

偽腔併存型とは,中膜が解離して偽腔が生じたものです。大動脈解離でも偽腔併存型であることが「大動脈に解離を残すもの」となります。

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