Q.頚椎骨折にはどのようなものがありますか。後遺障害(後遺症)にはなりますか。

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A.

頚椎は7個あります。頚椎骨折の中でも,重症化するのは頭蓋骨に近い部分です。

環椎(一番頭蓋骨に近いもの)骨折は生命の危機もあります。なお,環椎骨折は,ジェファーソン骨折と呼ばれています。
軸椎(環椎の下にあるもの)骨折は歯突起骨折として,変形あるいは固定術のために首の動きが固定された状態となると後遺障害が残るおそれがあります。

それ以外の椎骨は椎弓骨折の場合に後遺障害が残るおそれがあります。

 

1 環椎(ジェファーソン)骨折とは何ですか。後遺障害(後遺症)は,どうですか。   (クリックすると回答)


(1)環椎とは何ですか。
頚椎は7個あります。環椎は,一番頭蓋側にあり頭蓋骨を支えています。
環椎の特徴としては,他の頚椎の椎骨と異なって椎体と棘突起がありません。
それは,環椎は「はい」と頭を下げる動作ができるようにしながら,頭蓋骨を支えているからです。

(2)環椎骨折とは何ですか。
環椎骨折とは,第1頚椎骨折です。ジェファーソン骨折とも言われます。
破裂骨折となりますが,単独では脊髄損傷とはなりにくいとされています。
それは,環椎の周囲,特に上下に空間があり隙間が多く余裕があるからとされています。

ただし,仮に脊髄損傷を起こすと即死といわれています。

(3)後遺障害(後遺症)は,どうですか。

環椎骨折は,保存的治療による骨癒合が得られることが普通とされています。
運動制限も回旋運動以外には起こらないとされています。

環椎と軸椎の変形によりまたは固定術が行われて固定した場合であって,
(1)軸椎以下を可動させない,自然な状態で60度以上の回旋位となっているもの
(2)50度以上の屈曲位又は60度以上の伸展位となっているもの
(3)側屈位となっており,X線写真等により,矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面の平行線が交わる角度が30度以上の角度となっているもの
という環軸椎回旋位等が発生していれば(注:首が固定されて一定方向あるいは角度には動かせないと言うことです。)

「脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)」として後遺障害に該当します。

2 軸椎歯突起骨折とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。  (クリックすると回答)


(1 )軸椎歯突起とは何ですか。 
7つある頚椎の中で,上から第2番目(第2頚椎)を軸椎と言います。
第1番目が環椎ですが,すぐその下にあるのが軸椎です。図のDensとある箇所です。
軸椎が位置する高さは下あごの角で,耳の穴のやや下ぐらいです。
口を開けると見える咽頭の裏側に当たります。

軸椎の上端は,ピーナッツのような突起です。これが歯突起です。
軸椎の骨折で考えられるのは,この歯突起部分です。


(2)軸椎歯突起骨折とは何ですか。
単純レントゲン写真で診断されますが,小児など鑑別が難しい場合にはCT等の断層写真によります。安定型が多いとされますが,
時には転位が生じやすく偽関節を生じることもあるとされています。

(3)後遺障害(後遺症)は,どうですか。 
保存的治療による骨癒合が得られることが普通とされています。
運動制限も回旋運動以外には起こらないとされています。
60度以上の回旋位が残った場合には8級相当(中程度の脊柱変形)の該当性が考えられます。

なお,偽関節 (リンク)が生じることもあります。

3 頚椎の椎弓骨折とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。  (クリックすると回答)


(1)椎弓とは何ですか。
頚椎(脊椎)は,骨です。
椎骨は,前方部である椎体と,後方部である椎弓及び諸突起からなっています。
椎弓は,椎骨を構成する後方部であり,本来は脊髄を保護するための骨格です。
そして,同時に脊柱運動の力点の機能も持っています。


(2)椎弓骨折とは何ですか。
圧迫力と伸展力により生じます。

脊柱管が広くなる方向に骨片が転位するために脊髄損傷の合併は少ないとされています。
しかし,骨折した椎弓が片側の椎間孔内へ落ち込み神経根症状を生じることがあるとされています。
その場合には,手術が必要となります。手術をしても神経根症状が残存するようであれば,後遺障害の問題になります。

(3)後遺障害(後遺症)は,どうですか。
3個以上の脊椎について,椎弓切除等の椎弓形成術を受けた場合には,
「脊柱に変形を残すもの(11級7号)」の後遺障害に該当します。

あるいは,神経症状が残存した場合には,14級9号または12級13号となります。

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