Q.後縦靱帯骨化症(OPLL)等の脊柱靱帯骨化症とは何ですか。交通事故によって悪化することはありますか。

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A.

脊椎をつなげる靱帯が骨化したことに起因する症状が出現した場合を脊柱靱帯骨化症といいます。
特に脊柱靱帯骨化症の中でも,後縦靱帯骨化症(OPLL),黄色靱帯骨化症(OLF)と独立した名前がつけられています。
交通事故による外傷によって,悪化した場合に素因減額が問題となり判決例の流れからすれば,少なくとも30%の減額があり得ます。

1 脊柱靱帯骨化症とは何ですか。  (クリックすると回答)

脊椎を頭からおしりの先までつなげる靱帯が骨化脊柱靱帯骨化症といいます。
前縦靱帯,後縦靱帯,黄色靱帯,棘間靱帯,棘上靱帯などがあります。

特に,後縦靱帯と黄色靱帯は脊柱管内にあり,それらが骨化すると脊髄を圧迫して四肢麻痺を生じることがあります。

2 頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)とは何ですか。 (クリックすると回答)

(1)頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)

椎体および椎間板の後面にある後縦靱帯が肥厚・骨化して,脊髄を圧迫して脊髄症を引き起こす疾患です。

(2)脊髄症の発症と骨化率,脊柱管狭窄との関連

脊柱管前後径に対する骨化巣の厚みの割合が骨化占拠率
骨化占拠率が50%を超えると60%の可能性で,
骨化占拠率が60%を超えるとほぼ100%の可能性で脊髄症が発症
なお,骨化占拠率との関係の詳細はこちらへ(リンク)

骨化巣から椎弓までの脊柱管の残りが有効脊柱管前後径
脊髄症を発症した有効脊柱管前後径の平均は8.2㎜であり,6㎜以下であればすべてに脊髄症が発症

(3)症状---外傷による悪化
普通は,脊髄症の症状はゆっくりと進みますが,交通事故などによる外傷をきっかけに急激に悪化することがあります。

(4)自覚症状
手指のしびれ・巧緻障害,歩行困難,感覚障害,膀胱直腸障害等

3 胸椎後縦靱帯骨化症(OPLL)・胸椎黄色靱帯骨化症(OLF)とは何ですか。 (クリックすると回答)

いずれも,脊髄圧迫障害の原因となります。
後縦靱帯骨化症は上・中位胸椎,黄色靱帯骨化症は上・下胸椎が好発部位

4 腰部については,どうですか。  (クリックすると回答)

腰椎部の馬尾神経や神経圧迫の症状については,腰椎脊柱管狭窄症の一原因として取り扱われるのが一般的とされています。

5 判決の流れはどうなっていますか。  (クリックすると回答)

平成8年10月29日最高裁判決
この頚椎後縦靱帯骨化症判決(いわゆるOPLL判決)は,頚椎捻挫の受傷に素因としての頚椎後縦靱帯骨化症が競合して神経障害が残った事例について,素因減額することを肯定しました。

すなわち,事故前は疾患に伴う症状(頚椎後縦靱帯骨化症)は何ら発現しておらず,健康な日々を送っていた場合であっても,
最高裁は公平の見地から,その疾患の存在を斟酌することが出来るとしたのです。
なお,差し戻し控訴審の大阪高裁は平成9年4月30日付で疾患の寄与を30%と判断して素因減額をしています。

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