Q.高齢者主婦死亡による逸失利益の計算はどうなりますか。

[女子,女性,家事労働,年金,死亡,逸失利益,高齢者]

A.

具体例でご説明致します。
(1)性別        女性
(2)職業        主婦
(3)死亡時年齢  69歳
(4)年収        年金として年120万円
(5)家族        72歳の夫(子供は独立)

逸失利益の計算式は,
基礎収入×(1-生活費控除率)×(死亡時年齢から67歳までの労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)です。
です。

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具体的な計算については,続きをご覧ください。

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労働能力喪失期間としては,就労可能とされている67歳を超えていますので,死亡時年齢である69歳の平均余命である20年間(簡易生命表平成22年度)の2分の1である10年間になります。10年間のライプニッツ係数は7.7217です。

基礎収入については,同じ高齢者である夫と暮らす主婦で年金受給者であることから,少し複雑となります。
このような場合に家事労働者としての評価は三庁共同提言においても触れられております。
三庁共同提言とは,平成11年(1999年)に発表された東京・大阪・名古屋各地裁の「交通事故における逸失利益の算定方式についての共同宣言」(判例タイムズ1014号62頁)のことです。そこでの例として74歳の主婦が挙げられています。

つまり,
適用例② 夫と二人で年金生活をしている74歳の専業主婦
74歳の女性の平成9年における平均余命は14.34年であるから,少なくとも7年間は家事労働を行うことができ,これを金銭評価するのが相当である。そして,年齢と生活条項を合わせて考えると,その間の家事労働を平均して金銭評価すれば,65歳以上の平均賃金の7割に相当する金額とするのが相当である。
この適用例にならって考えると女子学歴計年齢別(65歳から69歳)平均賃金2,790,400円の7割である1,953,280円が家事労働の評価として妥当となります。
さらに,年金については,相続性が認められていますからその点についても逸失利益として対象となります。なお,この場合には喪失期間は平均余命までとなります。

すると,計算式は,
家事労働については,生活費控除率30%,10年間の喪失期間として
1,953,280円 × (1-0.3)×7.7217=10,557,849円
となります。

年金については,生活費控除率50%,20年間の喪失期間として
1,200,000× (1-0.5)×12.4622=7,477,320円
合計18,035,169円となります。
年金については,ほとんど生活費に使われてしまうので生活費控除率50%とするのが一般的です。しかし,原則60%とする考え方もあり,判決例も50から80%という幅広い範囲になっています。

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