Q.高次脳機能障害における遂行機能障害の検査方法にはどのようなものがありますか。

[ウィスコンシンカード分類テスト,ストループテスト,トレイルメイキングテスト,保続,前頭葉,遂行機能障害]

A.

遂行機能障害は,失語,失行,失認といった症状がなく,IQが高く,記憶検査も良好であったとしても,生じるものです。
その場合には,日常生活や社会生活に適応ができなくなってしまいます。

1  Stroop Testストループテストとは何ですか。(クリックすると回答)

ストループテストは,赤青緑黄の色名を当てさせるテストをした上で,赤青緑黄の4文字を意味と異なる色を書いておいて早く色名を当てさせるというもので,
色のみに集中して無関係な文字情報を排除することができるかを試すテストです。
処理速度と誤答数が判断基準となります。

2  TMTトレイルメイキングテストとは何ですか(クリックすると回答)

TMTとは数字を1から25まで順に結ぶ(Part A),数字とひらがなを「1→あ→2→い・・・」のように交互に結ぶ(Part B)という二つの課題からなり,
注意の持続と選択,また,視覚探索・視覚運動協調性などを調べる検査で,前頭葉損傷患者に鋭敏な検査で「Part B」では注意や概念の変換能力が必要とされる為,遂行機能検査としてよく利用されるものです。

つまり
A数字       処理速度
B数字-かな 処理速度
さらに,比B/Aを問題とします。比率が高い,つまりBになると処理速度が遅くなると,遂行機能障害が強く疑われてきます。
TMTの成績低下が前頭葉損傷の表れであるかは,議論が分かれるところであるとされています。

3  ウィスコンシンカード分類テストWisconsin Card Sorting Test WCSTとは何ですか。(クリックすると回答)

様々は変更を加えられることがありますが,基本的なルールは次の通りです。
カードを1枚ずつ,「色」「形」「数」で分類します。
まずは「色」で分類するのですが,被験者には内緒にしてあります。被験者が行った分類が正しいか,誤りであるかだけが,告げられます。
これを繰り返して,正しく分類ができて決められた枚数が続いたならば,今度はいきなり「形」の分類に移り,同じく正しい分類が決められた枚数続いたならば,「数」に移っていきます。
さらに「色」「形」「数」を繰り返します。カードの総数は128枚であり,連続10枚正解であれば,そのカテゴリー達成とします。

日本では,本来のやり方よりも試行回数を少なくした慶応版がよく用いられています。
違いは,(1)まずは,「色」「形」「数」で分類する検査であることを最初に教えます。(2)次に,分類が時々変わることも教えます。(3)そして,6枚連続して正解すればそのカテゴリー達成として,合計48枚まで行います。

成績は,達成カテゴリー数と誤反応の数・タイプによって評価します。
ネルソン型保続数についてご説明します。保続とは,一度始めた行為の不適切な繰り返しを言います。ルールに従って変更ができないことです
 保続には以前のカテゴリーに従いつづけるミルナーMilner型保続があります。
これに対して直前の誤反応と同じカテゴリーに分類する誤反応をくり返すのがネルソンNelson型保続です。2種類の保続は基盤が異なるために1つの反応が両者に分類されることも少なくないとされています。例えば,カテゴリーを達成せずに,「形」「数」で誤り続ければ両者でカウントされることになります。また,カテゴリーを達成した後に,その分類に固執し続ければやはり同数のカウントとなります。
ネルソン型保続でカウントされるのは,少なくとも1つのカテゴリー達成後に,「間違いです。」と言われて分類を変えていく中で,同一の誤った分類を続けてしまう場合です。
「間違いです。」と指摘を受けているにもかかわらず,続けてしまう点で保続の重さがあるのです。
 セットの維(把)持困難
は,少なくとも2回の正答の後,3,4,5回目のいずれかで分類基準を変えてしまうことによりカテゴリーを達成できないことを言います

 

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