Q.運動麻痺での対麻痺とは何ですか。後遺障害(後遺症)はどうなりますか。

[対麻痺,弛緩性麻痺,核上性,核下性,痙性麻痺,脊髄損傷]

A.

対麻痺とは,対とは両側(左右)のことです。そして上肢ではなく専ら下肢の運動麻痺を意味します。
主に脊髄損傷によるものが多いとされています。
痙性対麻痺と弛緩性対麻痺とがあります。

後遺障害は,程度の高度・中等度・軽度に応じて,1級,2級,3級,5級が考えられます。

1 対麻痺とは何ですか。(クリックすると回答)

運動麻痺(motor paralysis)とは,随意運動(自分の意志で手足を動かすなどの運動)の全部か一部ができなくなることです。
対麻痺 paraplegiaとは
通常は,両下肢の麻痺を言います。
胸髄から下の脊髄の病変(あるいは損傷)や末梢神経の病変(あるいは損傷)により生じます。あるいは,大脳皮質中心前回の下肢運動中枢の圧迫でも生じます。


2 原因はどうでしょうか。(クリックすると回答)

対麻痺は,両下肢の運動麻痺を言います。
原因としては,脊髄損傷によるものが多いとされています。

運動麻痺は,随意運動に直接関与する上位運動ニューロン,下位運動ニューロン,さらには筋病変いずれかによる運動障害です。

上位運動ニューロン病変によるものは中枢性麻痺と呼ばれ異常運動が障害の主体となります。
下位運動ニューロン,筋病変によるものは末梢性麻痺と呼ばれ筋力低下が障害の主体となります。

脊髄損傷による場合にも麻痺の状態が異なることになります。

3 対麻痺にも痙性対麻痺と弛緩性対麻痺があるのですか。(クリックすると回答)


対麻痺にも痙性麻痺と弛緩性麻痺とがあります。

痙性麻痺は,痙縮を伴います。
痙縮とは,被運動に際して,はじめに強い抵抗があるが,動かしていくと急に抵抗を減ずる,いわゆる折りたたみナイフ現象を言います。

これに対して,弛緩性麻痺では筋肉を支配するすべての末梢神経繊維が機能しなくなり,すべての随意収縮,筋のトーヌスや反射性運動はなくなり,筋肉は弛緩して,受動運動のままとなる状態になります。

上位運動ニューロン障害(核上性障害)であれば痙性対麻痺
下位運動ニューロン障害(核下性障害)であれば弛緩性対麻痺
となります。

錐体外路が損傷すると,その抑制がきかなくなってしまうのです。
これが上位運動ニューロン障害で,そのために反射が亢進して筋緊張が強まり痙性麻痺となるのです。

これに対して,反射弓の障害が下位運動ニューロン障害です。
この場合には末梢性の神経伝導路の問題ですから,中枢まで伝わらず反射が起こりにくいか,起こらなくなり,弛緩性麻痺となるのです。


4 対麻痺の後遺障害等級は,どうですか。(クリックすると回答)

対麻痺の程度により,高度・中等度・軽度に区分されます。

これを自賠責基準に当てはめると
高度の対麻痺 別表第1 第1級1号
中等度の対麻痺 別表第1 第2級1号あるいは別表第2 第3級3号
軽度の対麻痺 別表第2第5級2号
となります。
労災認定基準によれば
高度の対麻痺とは常時介護を要する(第1級の3)
中等度の対麻痺とは食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要する(第2級の2の3)
中等度の対麻痺であって,上記の随時介護を要さないもの(第3級の3)


むち打ちや脱臼、脊髄損傷など、幅広い疑問にもお応えします。ご相談は埼玉の弁護士、むさしの森法律事務所にご連絡ください。

0120-56-0075 受付時間:月~金(土日祝日も対応)午前9時30分~午後10時

フォームからのご相談予約はこちら

ページの先頭へ戻る