Q.段取りができなくなる(遂行機能障害)とは,どういう後遺障害(後遺症)ですか。

[びまん性脳損傷,脳損傷,遂行機能障害,高次脳機能障害]

A.

 

1  遂行機能障害
実生活を営む上で主体的に何かをしようとする際に必要不可欠な能力です。つまり,自分で考えて,計画をして,他人と交渉したり話し合いながら,計画を実現するための能力です。そのためには,目標を設定・計画・計画の実行・順序に従った効果的な行動が必要です。脳の機能の様々な要素が必要なために,局所的な巣症状とも,びまん性脳損傷によるものとも,その両方によるものとも,言われており医学的な見解も原因においては確立しておりません。

2  「高次脳機能障害者支援の手引き」として平成20年11月に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部及び国立障害者リハビリテーションセンター連名で発表されました。診断基準ガイドラインが示されました。

そこでの症状としての遂行機能障害としては以下のとおり説明されています。
① 目的に適った行動計画の障害:行動の目的・計画の障害である。
② 目的に適った行動の実行障害:自分の行動をモニターして行動を制御することの障害である。

もう少し詳しく述べると,
① 目的に適った行動計画の障害:行動の目的・計画の障害である。行動の目的・計画の障害のために結果は成り行き任せか,刺激への自動的で,保続的な反応による衝動的な行動となる。ゴールを設定する前に行動を開始してしまう。明確なゴールを設定できないために行動を開始することが困難になり,それが動機づけの欠如や発動性の低下とも表現される行動につながることもある。実行する能力は有しているために,段階的な方法で指示されれば活動を続けることができる。

② 目的に適った行動の実行障害:自分の行動をモニターして行動を制御することの障害である。活動を管理する基本方針を作成し,注意を持続させて自己と環境を客観的に眺める過程の障害により,選択肢を分析しないために即時的に行動して,失敗してもしばしば同様な選択を行ってしまう。環境と適切に関わるためには,自分の行動を自己修正する必要がある。この能力が障害されることにより社会的に不適切な行動に陥る。評価法としては,BADS (遂行機能障害症候群の行動評価)等がある。

3 具体的な症状として
(1)自分からは何もしようとはしない
(2)いわゆる極端なまでの指示待ち,指示がない限りは何もしようとはしない
(3)無計画性,行き当たりばったり
(4)行動の修正ができない,計画通りに行かない場合に軌道修正ができない,修正しようとはしない

4  BADS (遂行機能障害症候群の行動評価)とは
およそ以下の6項目があるようです。
(1)規則変換カード検査
記憶及びある規則から他の規則への変換への適応力を検査します。
(2)行為計画検査
新しい問題解決の為に行為を計画する能力を検査します。
(3)鍵探し検査
有効で効果的な道筋を計画する能力を検査します。
(4)時間判断検査
自分自身の行動をチェックして周囲に気がつく能力を検査します。
(5)動物園地図検査
自由度の高い課題の中で自発的に計画を立てる能力及び自由度の低い課題で外部から与えられた具体的な戦略に従う能力の両方を検査します。
(6)修正6要素検査
行動を計画し,組織化し,監視する能力及び味蕾に渡って計画を遂行することを覚えている能力(いわゆる展望記憶)を検査します。

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