Q.交通事故による急性硬膜下血腫の後遺障害(後遺症)は,どうなりますか。

[びまん性脳損傷,急性硬膜下血腫,硬膜下血腫,脳挫傷,頭蓋内圧亢進]

A.

受傷後まもなく発症し硬膜とくも膜の間に出血をして血腫ができるものを硬膜下血腫といいます。

脳挫傷等を合併しており,重症なものが多く生命に関わることもあり得ます。


1 急性硬膜下血腫とは

頭部への打撃が頭蓋骨を通して脳の表面に及んで硬膜とくも膜の間に出血をして血腫ができるものを硬膜下血腫といいます。

そして,およそ受傷3日以内に発症したものを急性硬膜下血腫といいます。

 

2 発生と好発部位

血腫の下に脳挫傷や脳裂傷を伴っていることが多いとされています。

つまり脳の表面である脳皮質の動脈,静脈の出血や,脳の表面から硬膜静脈洞への(架)橋静脈の出血が発生原因となります。

くも膜には強固な癒着・結合がないために血腫の広がりは硬膜外血腫よりは広範囲になります。

好発部位は,中頭蓋窩,前頭蓋窩です。ときには,後頭蓋窩や脳表を左右にまたぐようにできる血腫もあります。
なお,窩とはあな・くぼみです。
頭蓋底をボウルに例えればその空間です。

 

3 症状

受傷直後から意識障害が持続し,血腫の増大や脳浮腫の進行に伴って昏睡に陥ります。

意識清明期があるのは,血腫が薄くて,脳実質の損傷がごく軽微のものに限られると言われています。

(架)橋静脈が出血すると,大量で急速に起こるために脳挫傷が軽微であっても短時間で重篤な意識障害となります。

あるいは,(架)橋静脈の破綻にはびまん性脳損傷を伴うこともあるとされています。
急性硬膜下血腫は,脳挫傷,脳幹出血を合併していることが多く重症化しやすく,手術をおこなっても手術中に死亡するか,手術後に死亡するものが高率であると言われています。



4 治療

よほどの小さなものを除いて手術が必要となります。特に血腫が頭蓋内圧亢進の主因となっていれば,緊急開頭手術によって血腫を除去します。

脳挫傷部をできるだけ除去するだけではなく,正常脳を一部除去して脳の減圧を図ることもあります(内減圧術)。

 



5 後遺障害

予後は,悪いとされています。

救命できたとしても,よほど血腫除去が早期の場合でなければ,高次脳機能障害,半身麻痺,言語障害,外傷性てんかん等に悩まされることとなり得ます。


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頭蓋骨骨折(リンク)

脳挫傷(リンク)

 

 

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