Q.脳神経と機能障害の対応関係はどうなっていますか。

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A.

脳神経は,脳から出る左右12対の末梢神経ですが,それぞれが支配する機能が決まっており,その神経が損傷すると,それに対応する機能障害が生じてきます。

1 脳神経とは脳から出る左右12対の末梢神経のことです。

第1脳神経 (嗅神経)   =においを感知するものです。
第2脳神経 (視神経)      =ものを見る視力及び視野をつかさどるものです。
第3脳神経 (動眼神経)    =眼球運動と瞳孔の大きさをつかさどるものです。
第4脳神経 (滑車神経)    =眼球運動をつかさどるものです。
第5脳神経 (三叉神経)    =顔面の知覚,咬筋(そしゃく筋の1つで,下顎骨を引き揚げて上下の歯をかみ合わせる働きをします)の支配をつかさどるものです。
第6脳神経 (外転神経)    =眼球運動をつかさどるものです。
第7脳神経 (顔面神経)    =顔面の表情筋を支配するものです。
第8脳神経 (聴(内耳)神経)=平衡感覚と聴覚をつかさどるものです。
第9脳神経 (舌咽神経)    =咽頭の筋と知覚を支配するものです。
第10脳神経 (迷走神経)    =咽頭,声帯,内臓を支配するものです。
第11脳神経 (副神経)      =胸鎖乳突筋(頚で一番目立つ筋肉です。胸骨,鎖骨と側頭骨を結ぶ筋肉です。),僧帽筋(頚と肩頂の間の筋肉で,よく肩こりとなる部分です。)を支配するものです。
第12脳神経 (舌下神経)  =舌筋を支配するものです。

この様に第1脳神経=嗅神経,あるいは,第3脳神経=動眼神経ということになります。
また,眼球運動を例に取れば,1つの脳神経だけではなく動眼神経・滑車神経・外転神経が関連していることが分かります。
頭蓋底骨折で壊れやすい脳神経は,1から8の内5(三叉神経)を除いた7つとされています。

2 脳神経症状について
①嗅覚低下,嗅覚脱失
「1 嗅神経」が損傷を受けた場合です。後遺障害診断と言うことではなく簡便な検査方法としては,コーヒーの粉のにおいをかがせることがおこなわれます。
②視力障害,失明
「2 視神経」が損傷を受けた場合です。前頭蓋底骨折があり視神経に骨折が及ぶと視神経も損傷されます。そのために視力低下が生じて最悪の場合には失明に至ります。
③眼球運動障害,複視
眼瞼下垂(まぶたが下がってくることです)は,上眼瞼挙筋を支配する動眼神経の麻痺で起こります。
ホルネルHorner症候群は,眼瞼下垂のほかに同側の縮瞳,顔面・結膜の血管拡張,発汗障害,眼球陥没を生じます。
片方の眼球運動の障害があると,両眼で見たときに焦点が合わずにものが2つに見える複視を生じます。
「3 動眼神経」が完全に麻痺をすると,眼瞼下垂,外眼筋麻痺とともに,散瞳,対光反射の消失,調節反射の消失が起こります。
「4 滑車神経」の麻痺では,下内方を見ることができないので,階段を下りることが困難となります。
「6 外転神経」の麻痺は,頻繁に起こるものですが,内斜視を示し,複視が強くなります。
④顔面知覚異常,脱失
「5 三叉神経」の損傷では,顔面の皮膚感覚障害,角膜・結膜・鼻腔・口腔の知覚異常,下の前3分の2の知覚麻痺及びそしゃく筋麻痺が起こります。
⑤顔面神経麻痺
「7 顔面神経」の損傷により顔面神経麻痺が起こります。片側に麻痺が起こると,同じ側の顔の筋肉の動きが悪くなり,ほおを膨らませることができなくなったり,麻痺を下側の口角が垂れ下がってしまって口を真一文字に結べなくなります。そのためにパ行の発音ができなくなったりもします。また麻痺のある側の額の運動もできなくなるために額にしわが寄らなくなったり,目を閉じてもまつげが隠れなくなります。
⑥聴力障害,平行障害
「8 聴(内耳)神経」を損傷すると,耳鳴,めまい,聴力障害,平衡障害,眼振が起こります。
⑦嚥下障害,嗄声(させい)
「9 舌咽神経」「10迷走神経」「11副神経」が損傷を受けると,頚静脈孔症候群jugular forament syndromeと呼ばれる,かなりの重症となります。嚥下障害,嗄声(しゃがれ声),味覚脱失,構音障害等となり,「11副神経」が胸鎖乳突筋・僧帽筋を支配していることから肩を上に挙げることができなくなります。

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