頚椎あるいは腰椎の外傷性椎間板ヘルニアで素因減額を否定した判決です。

[ヘルニア,椎間板,素因減額,脊柱管狭窄]

多くは,椎間板ヘルニア(ヘルニア)と外力とが合わさって後遺障害となったり,その程度を悪化させます。

その点で,ヘルニアにより後遺障害が認定をされる面があるとも言えますが,反面で素因減額の対象となり賠償額が減ることも覚悟しなくてはいけません。

素因減額割合は,原則3割程度と考えられます。
変性等が原因しているならば,素因減額割合は5割から8割程度となるおそれがあります。

その中で,素因減額を否定している判決がいくつもあります。
理由としては,客観的に事故前にヘルニアを発症するだけの変性が生じていたとする証拠がない場合と,事故としての外力が大きいことの,いずれかであると言えそうです。

ヘルニアによる訴因減額が相手方から主張されたとしても反論できる可能性があるのです。

判決1 大阪地裁 平成12年1月31日判決
骨棘が存在したが頚椎障害に関連した既往症はない

判決2   横浜地裁 平成12年5月30日判決
衝撃は軽微とはいえない

判決3   大阪高裁 平成14年6月13日判決
被害者の腰椎に加齢性の変性等が事故前から存在したと認めるに足りる証拠はない

判決4 横浜地裁 平成7年9月29日判決
9腰椎椎間板ヘルニアが生じて神経に対する強い機械的刺激が加わった

判決5   大阪地裁 平成4年10月19日判決
椎間板ヘルニア発症の先天的過形成性について何ら証拠が明らかとされず,かつ腰部の加齢性変化の存在も証拠がない


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各判決の要旨は,続きをご覧ください。

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判決1 10級相当

大阪地裁 平成12年1月31日判決
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1377号
被害者(当時,46歳女性)は,頚椎椎間板ヘルニア等により上肢のしびれや握力低下,痛み等で頚椎前方固定術を受けました。
労働能力を27%喪失した(10級相当)と認定して67歳までの労働能力喪失期間を認めました。
骨棘が存在したが頚椎障害に関連した既往症はないので症状は本件事故が主であり,素因額は自覚症状とはいえ仕事ができず大きな損害が生じていること,事故前治療の事実はないこと等から素因減額はしませんでした。


判決2 12級

横浜地裁 平成12年5月30日判決
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1366号
被害者は,当時26歳女性会社員でした。
一般的に交通事故等による外傷が原因で椎間板ヘルニアになる可能性はあるとして,加害者による時速40㎞でほとんどブレーキをかけることなく玉突き追突した結果,衝撃は軽微とはいえないことから,本件事故と被害者の腰椎椎間板ヘルニアは因果関係があると認定しました。
後遺障害は,腰痛,しびれが12級13号に該当すると認定して,10年間14%の労働能力喪失を認めました。


判決3 12級

大阪高裁 平成14年6月13日判決
(1審)大阪地裁 平成13年12月25日判決
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1462号(平成14年10月10日掲載)
被害者(63歳女子成型工)は,腰部挫傷,腰椎・頚部椎間板ヘルニアで頚椎固定術を受け6級脊柱の著しい運動障害,11級脊柱変形,各12級腰部・頚部神経症状等7級を自賠責では認定されました。
裁判所は,事故直後の受診で腰部挫傷と診断され,40日後に腰椎椎間板ヘルニアが確認されたことから腰部の受傷と事故との因果関係を認めたました。
しかし,頚部椎間板ヘルニアと事故との因果関係を否定したため,同手術による脊柱運動障害の後遺障害自賠責認定は否定しました。
結局は,後遺障害は「腰部に頑固な神経症状」12級13級のみで9年間14%の労働能力喪失を認めた。
素因減額については,被害者の腰椎に加齢性の変性等が事故前から存在したと認めるに足りる証拠はないとして否定しました。


判決4  9級

横浜地裁 平成7年9月29日判決
<出典> 交民集28巻5号1443頁
被害者(当時39歳主婦)には事故以前から腰部脊柱管狭窄症又は黄色靱帯(黄靱帯))肥厚が存在し,本件事故によって被害者の第4腰椎と第5腰椎との間の椎間板に腰椎椎間板ヘルニアが生じて神経に対する強い機械的刺激が加わった結果,腰髄癒着性蜘蛛膜炎及び腰髄神経根炎が発生しました。
その結果,神経系統の機能障害のため,腰痛,左下肢のしびれ,疼痛,筋力低下の後遺障害が生じ,軽易な労務以外の労務に服することができない状態となりました。
そこで,9級10号として,症状固定時から10年間,その労働力を35%喪失したと認めました。
(なお,10年としたのは,被害者が主婦であり次女が成人になるまでの期間を認定したと思われます。)


判決5 5級相当

大阪地裁 平成4年10月19日判決
<出典> 交民集25巻5号1245頁
被害者(当時36歳男子・左官)は,右第3腰椎横突起骨折及び右膝挫傷の他,腰椎椎間板ヘルニアの傷害を負いました。
その後,第4ないし第6腰椎(第1仙椎)後側方固定術を受けました。
そして,このヘルニアの手術のために右上腕神経麻痺の症状が発現して後遺障害となったと認められました。
そして,これに加え,被害者の年齢,職業その他諸事情を考慮すると,被害者は,事故による後遺障害により,5級相当である労働能力79%喪失したものとして認めて,就労可能28年間の逸失利益を認めました。
素因減額については,椎間板ヘルニア発症の先天的過形成性について何ら証拠が明らかとされず,かつ腰部の加齢性変化の存在も証拠がないことから認めませんでした。

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