Q.イベント会場の駐車場に入る手前に信号があり,青信号であったのに誘導員が止まれの指示をしたため,前方車両が急停止したため追突した場合に誘導員に責任は,ありますか

[信号機,誘導員,過失相殺]

A.
1 事故は,誘導員の指示が信号機による交通整理つまり青信号と異なっていたため前方車両が急停止して,発生しました。
誘導員の行う指示は交通整理ではなく交通警備とされています。

2  交通警備とは公道上または,公道に接続されている私有地やその接続部分に於いて,車両の円滑な進行と迷惑の軽減を促すため,実際的に交通事故防止・交通の円滑な流れを促す事を目的として他者に任意の協力を求める業務です。
すなわち,警察官等の行う交通整理と違い法律的に特別な権限はありません。

3 これは「警備員の行う交通誘導は,警備業法や道路交通法等の法令上,何ら特別の権限が認められているわけでなく,単に工事現場等において人や車両の通行の危険を防止し,かつ,道路工事等が一般交通に与える影響を緩和するという目的に適合する範囲内において,誘導を受ける側の自発的な協力に基づき行われるものに過ぎない。」
「警備員が道路交通法等に定められた車両又は歩行者の通行方法と異なる誘導を行うことは,交通を混乱させて,一般の歩行者や車両等に迷惑をかけ,ひいては,交通事故を発生させる原因となるため,許されないばかりでなく,その相手方が警備員の誘導に従い道路交通法に違反したときは,その誘導を行った警備員も同法違反としての責任を問われることがある。」
とされています。

4  誘導員が誘導灯を振っていたため直進左折矢印信号で右折して,直進車と衝突した加害者の右折には「誘導員の行為との間には相当因果関係がある」と認定し,誘導員には何ら権限がなく,誘導員と警備会社の責任を認定した裁判例(東京地裁 平成15年9月8日判決)があります。この裁判例は,信号機による指示と異なる誘導をした誘導員の事故との因果関係を認めてその過失も認めたものです。

5 すると,車両側が青信号であるのに誘導員が車両に急停止を指示したことは,不適切なものであり,その誘導員の誤った指示により,前方車両の急停止を招いて追突を生じさせたものと言うことが可能です。
したがって,本件事故は,誘導員及びその使用者(駐車場管理やイベント管理側)と前方車両の不法行為責任と考えることができます。ただし,後続車両を運転していた本人も車間距離から追突を回避できた場合には一定の過失相殺をされる可能性があります。

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