Q.閉鎖性頚動脈損傷は生命に関わり,また重度の後遺障害(後遺症)を残す危険があります。

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A.

頭部外傷では,説明のつかない中枢神経症状を示すときは,原因として頚部動脈損傷を疑う必要があるとされています。

非常に危険な傷害であり,生命に関わるものです。また,救命されたとしても失語症あるいは高次脳機能障害といった重度の後遺障害を残すものです。
なお,閉鎖性頚動脈損傷の多くは,交通外傷とも言われています。

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1  閉鎖性頚動脈損傷

頭部外傷では,説明のつかない中枢神経症状を示すときは,原因として頚部動脈損傷を疑う必要があるとされています。
頚部外傷の所見があるのは50%のみであり,多くは表皮剥離程度です。
頚部への損傷を受けたことを自覚していることは少ないともされています。
頭部外傷との合併が75%に認められるとの報告もあり,神経症状の出現が頭部外傷に起因すると誤って判断される危険性も指摘されています。

多くは,軸椎ないし環椎レベルの内頚動脈に発生するものと言われています。


2 受傷機転

交通外傷によるものが最も多く(41~70%),その他DV等の暴行や転落とされています。

タイプとして4つに分類されます。
(1)タイプ1
頚部への直接打撃,動脈硬化を伴った高齢者に多い。

(2)タイプ2(タイプ1以外の大半)
頚部の過伸展または外側の屈曲による損傷

(3)タイプ3
口腔からの穿通性損傷,小児に好発

(4)タイプ4
頭蓋底骨折に伴う横断損傷


3 症状と診断

症状を呈するのは,50%とされており,最も多いのは頭痛,頚部痛,そして虚血による症状で意識障害よりも片麻痺,失語症といった巣症状が先行するのが特徴です。

MRIにより内膜血腫が描出されることもあるようですが,確定診断は血管造影です。


4 予後

無症候性のものの予後はよいとされていますが,症候性のものの死亡率は29~42%という驚くべき報告があります。

 

(大田富雄層編集「脳神経外科学Ⅱ」金芳堂 p1131から1133より抜粋)

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