Q.高次脳機能障害・脊髄損傷以外で将来の介護費用が認められる後遺障害(後遺症)はありますか。

[介護費用,下肢欠損,下肢機能障害,常時介護,用廃,随時介護,高次脳機能障害]

A.

自賠責等級3級以下でも,両下肢に欠損あるいは機能障害がある場合には,車いすの使用となり,日常生活の様々な支障が予想されますから介護の必要性を認める傾向にあると言えます。

1 自賠責基準として介護は,どのようになっていますか。

明示されているものは,いわゆる別表第Ⅰ(神経・精神系統の障害,胸腹部臓器の障害)の1級(常時介護)及び2級(随時介護)だけです。
実際上は,高次脳機能障害と脊髄損傷と言ってもいいと思われます。

2  判決例の傾向としてはどうなりますか。

両下肢に欠損あるいは機能障害がある場合には,車いすの使用となり,日常生活の様々な支障が予想されますから介護の必要性を認める傾向にあると言えます。
片側の場合には,上肢にも障害があるか,あるいは,現実に家庭環境等の要因で介護を受けている場合には認めていると言えます。

3 具体的にはどのような判決例がありますか。(クリックすると回答)

損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本)2013年版p30~31にかけて4つの判決例が載せられています。

(1)片側上下肢の場合左上下肢のRSD(5級2号)で痛みとしびれのため日常生活が不可能ないし不自由であり,外出も車いすであって母親が付き添う必要があったと言うことから介護の必要性を認めました。
介護費用日額1000円で平均余命まで。
(名古屋地判平成16年7月28日 交民37・4・1020, 交民:交通民事判決集)

(2)左右下肢の機能障害の場合歩行不能(併合5級)のため日常生活に付添介助を要し現在長女の介護を受けているとして介護の必要性を認めました。
介護費用日額3000円で平均余命まで。
(神戸地判平成16年8月18日 交民37・4・1072)

(3)右下肢の機能障害の場合右下肢のRSD(9級)で常時車いすの生活,就寝時の準備,衣類等の着脱,入浴,買い物,掃除,洗濯等の介護を母親が要する時間は多くはないが行っていることから介護の必要性を認めました。
介護費用日額1000円で平均余命まで。
(大阪高判平成18年8月30日 自動車保険ジャーナル1657・2) 自保ジ=自動車保険ジャーナル

(4)右膝関節用廃,右下肢短縮の場合右膝関節用廃(8級7号)及び右下肢短縮(13級8号)の併合7級の場合に,介護サービスを受けているものの,その内容は付添看護ではないが,単身者で家族がいないことから,日常生活の世話をするために職業付添人が必要であることから介護の必要性を認めました。
(大阪地判平成20年10月14日 自保ジ1793・2)

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