Q.配偶者がいない寡婦のような場合でも家事従事者(労働者)として休業損害・逸失利益が算定されますか。

[主婦,家事労働,家事従事者,独身,配偶者,離婚]

A.


家事従事者(家事労働者)とは,他の家族のためいわゆる主婦的業務に従事する者であり,性別は問わないとされます。

しかし,家事従事者(家事労働者)とは,誰のためにどのような業務をするかであり,実態を含めると難しい問題です。

1 配偶者がいない場合においても,家事従事者として休業損害・逸失利益の算定がされることがありますか。   (クリックすると回答)


配偶者と離婚あるいは死別している,あるいは結婚歴のない独身の状況で,どのような場合ならば家事従事者と認定される可能性があるのでしょうか。

①未成年の子の養育が必要であれば家事従事者として認められることが多いと言えます。そして,有職者であっても,あるいは無職者(その場合には生活保護受給が考えられます。)であっても認められると考えます。
例えば二児の養育をしている場合に家事従事者として認めたもの(神戸地裁平成15年2月20日判決)では,賃金センサス平均の全年齢もしくは年齢別で算定されます。

②成人した子と同居して子が就労しているならば,家事従事者と認められることは多いと考えられます。
しかし,実際には子と家事を分担しているようであれば基礎収入額が平均賃金の80%等割合的に認定されることになろうと考えられます。
同居している子が無職者である場合には原則として否定されると考えます。
但し,子が成人をしていても自宅介護を要する状態であり,現実に介護をしていたという場合であれば,認定されると考えます。

③親と同居している場合は,被害者である子が就労しているのかどうか,実態として家事労働をできる時間と体制にあるかという事実認定に関わる部分が大きいと考えます。
就労している母親がいて,代わりに家事を行っている場合には認められやすいと思われます。
あるいは,要介護の親の介護を行っていると言うことであれば,これも認められやすいと思われます。

④兄弟と同居している場合は,本人を含めた就労状況,実際の家事分担等が認定に際して問題になると考えられます。
長姉が就労している弟や妹の母親代わりに家事作業をしていたような場合には認められると言えます。
あるいは,無職者で自宅にいる理由が他の兄弟姉妹の介護のためであれば認められやすいと言えます。

⑤単身者の場合は,家事労働の性格上から原則として否定されています。
しかし,無職単身女性が,福祉施設に入所している父親の昼食介護を自転車で通って行っていた場合において日額3000円の休業損害を肯定した判決があります(大阪地裁平成24年9月21日判決)。

2  参考になる判決例はありますか。  (クリックすると回答)

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