Q.配偶者の運転する車両に同乗していた場合に,加害者へ賠償請求するに際して,運手者である配偶者の過失を考慮されてしまうのですか。

[内縁,同乗者,自賠責保険,被害者側の過失,配偶者,離婚]

A.

1 どのような問題でしょうか。
例えば助手席に妻が同乗して,夫が運転する自動車と第三者が運転する車両が衝突した場合に,妻が第三者に賠償請求するに際して夫の過失も考慮されてしまうかという問題です。

2 結論はどうでしょうか。
特段の事情がない場合を除いて,夫の過失を被害者側の過失として相殺できるとされています(最高裁昭和51年3月25日判決)。
その理由としては,「被害者と身分上ないし生活関係上一体をなす」と見られるから(つまり,財布が共通),公平の観点からと言うことになります。

なお,少し理論的に考えると,被害者である妻は第三者と夫の両者の共同不法行為によるものとして両者に対する損害賠償請求ができると考えられます。
そして,第三者が全額賠償をした後に夫の負担部分を求償するという方法が理にかなっているとも言えます。
しかし,そのような賠償の「循環」が生じるのは煩雑だとして被害者側の過失として考えるという便宜的な観点もあるかもしれませんね。

3  特段の事情とはどういうことでしょうか。
「夫婦関係が既に破綻に瀕している」という場合を言います。
特に,事故後に離婚をしたような場合においては,事故当時「破綻に瀕していた」という推定が働きやすいと言えます。

4 内縁関係の場合はどうでしょうか。
「被害者と身分上ないし生活関係上一体をなす」かどうかの認定に関わると思われます。
肯定する判決例も多くありますが,内縁というだけではなく,実態に即した判断がなされているものと考えられます。

5 自賠責保険の関係ではどうでしょうか。
2の理論的な問題と関連しますが,妻は第三者と夫の共同不法行為による傷害あるいは後遺障害を負ったと言えます。
その点から,理屈上では,被害者として二つの自賠責保険(いわゆる2自賠責)が使えることになります。

代表弁護士岡田正樹による出版物です

ごめんじゃすまない! 自転車の事故

むさしの森 法律事務所 岡田 正樹 (著)

本書の特長は事故を起こした加害者、事故に巻き込まれた被害者の真実をもとに、それぞれの苦しみや悲しみの物語、危険運転に対する違反切符と罰則、過失の割合、賠償・慰謝料の実例、自転車用の保険、和解に導く弁護士の役目など、あらゆる面から自転車事故を解説しています。 大切なお子さんを加害者に、被害者にもさせたくない。子を持つお父さん、お母さんには必携の書です。

Amazon詳細ページへ


むち打ちや脱臼、脊髄損傷など、幅広い疑問にもお応えします。ご相談は埼玉の弁護士、むさしの森法律事務所にご連絡ください。

0120-56-0075 受付時間:月~金(土日祝日も対応)午前9時30分~午後10時

フォームからのご相談予約はこちら

ページの先頭へ戻る