Q.子が所有する車両で事故を起こした場合に親が責任を負うことがありますか。

[親の責任,運行供用者]

A.

親子というだけでは,親が責任を負うとは言えません。
同居していて生活に関して子が親に依存しているような場合において,親の責任が認められる可能性があります。

1 問題点は何でしょうか。 (クリックすると回答)

人身事故については,運転者以外も運行供用者として責任を負うことがあります(自賠法3条)。
従って,子が所有する車両で事故を起こした場合に親も責任を負うかどうかは,親が運行供用者に該当するかにかかっています。
すなわち,運行供用者であれば子よりも資力がある親から賠償を受けられる可能性が出てきます。

2 親が車両購入費用を負担している場合は,どうでしょうか。 (クリックすると回答)

車両購入費用を親が負担してガソリン代・保険料等も支払っており,子には生活能力がない場合において親の運行供用者責任が認められております
(最高裁昭和49年7月16日)。
実質的に見て親の「所有」する車両として運行供用者責任を認めたものです。

3 親が車両購入費用を負担していないが,名義人の場合は,どうでしょうか。 (クリックすると回答)

子が親と同居して経済的に依存しており,子が購入費用を出しているものの,名義人は親である場合において親の運行供用者責任が認められております
(最高裁昭和50年11月28日)。
なお,「監視・監督すべき立場」という言葉が運行の支配・利益に代わって用いられているのが「みそ」です。
あるいは,名義人という点に力点を置いているとも読める余地があります。

4 実際の所有者と形式的な名義とどちらが重要なのでしょうか。 (クリックすると回答)

親子と言うだけでは親の責任を認めることはできません。
鍵は,経済的に子が親に依存していると言えるかどうかです。
同居しており,十分な収入を子が得ていない場合には,依存していることを推認できると思います。

形式的な名義は,子であっても,車両購入費用を親が出していればもちろんですが,たとえ車両購入費用は子が出していたとしても,名義が親であれば維持費は親が出していると推定されたり,あるいは,そもそも車両購入費用を本当に子が出したのかを疑われることになります。

その意味では,名義の点のみならず実質を見ると言うことになります。
特に,親子が同居していれば名義によらず,子が自立できるだけの収入がない限りは,親の管理支配している車両であり,親が運行供用者と推定されると考えられます。
ただし,別居して生活しており,子が自分の費用で車両を購入している場合には, 親の責任を認めることは難しいと考えます。

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