Q.外傷性腎臓損傷の後遺障害(後遺症)はどうなりますか。

[後遺障害,腎臓,11級,13級,糸球体,7級,9級,GFR]

A.

腎臓は2つありますが,1側の腎臓を失った場合と,失っていない場合とで区別されています。
失った場合は,7,9,11,13級
失っていない場合は,9,11,13級
となります。
それぞれ等級の区分においては,糸球体濾過値(GFR)を参照とします。

1 腎臓の働きとは何ですか。(クリックすると回答)

主な働きは,尿を作ることですが,全身の代謝により発生した老廃物を体外に排泄するほかに,体液の水分量,電解質の濃度の調節や,酸・塩基の平衡調節を行い,生体の恒常性を保つ役割を担っています。
また,内分泌臓器としての性質もあり,多くのホルモンの分泌や合成に関わっています。
その意味では,生命の維持に重要な臓器の1つです。(「わかりやすい内科学第4版 文光堂p791」)
腎臓.jpg

2 腎臓の構造はどのようですか。(クリックすると回答)

腎臓は脊椎をはさんで左右に1つずつあります。
基本的な機能的単位としてネフロンがあります。
ネフロンとは糸球体とそれに続く1本の尿細管からなっていて,1個の腎臓にはネフロンが約100万個存在しています。
(「わかりやすい内科学第4版 文光堂p791」)
糸球体は,血液の濾過を行うことによって,老廃物や身体に不必要な水分を体外に出す働きをしています。(それが原尿です。)
尿細管は,糸球体で濾過した原尿の中から必要な分だけを体内に再吸収する働きをしています。

(「わかりやすい内科学第4版 文光堂p792」)

3 糸球体濾過値(GFR)とは何ですか。(クリックすると回答)

腎機能の指標として現在世界中で用いられています。
腎臓では血液濾過が行われており,尿のもととなる濾液(原尿といいます)が作られますが,1分間または24時間あたりどのくらいの濾液が作られるかを数字で示したものです。
体格の違いが数値に表れるので,通常は体表面積1.73㎡に換算して示されます。
単位は ml/1.73㎡で,正常は90以上です。(「わかりやすい内科学第4版 文光堂p804」)
なお,労災基準ではml/分を単位としています(労災補償障害認定必携p205)。自賠責基準は労災基準に準じています。

4 糸球体濾過値(GFR)の測定方法はどうですか。(クリックすると回答)

インスリンなどを用いて直接測定する方法と,血清クレアチニン値,体重,性別から計算式を用いて推算する方法とがあります。
(「わかりやすい内科学第4版 文光堂p804」)
労災基準としては,「内因性クレアチニンクリアランスによって計測することが広く行われる」とだけされており(労災補償障害認定必携p224),特に測定方法の指定はないようです。

5 後遺障害等級はどうですか。(クリックすると回答)

(1)腎臓を失っていないもの
a. GFR 30ml/分超~50ml/分以下 →9級
b. GFR 50ml/分超~70ml/分以下 →11級
c. GFR 70ml/分超~90ml/分以下 →13級

(2)腎臓を失ったもの
a. GFR 30ml/分超~50ml/分以下 →7級
b. GFR 50ml/分超~70ml/分以下 →9級
c. GFR 70ml/分超~90ml/分以下 →11級 
d. いずれにも該当しない(GFR正常) →13級

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