Q.頚椎捻挫(むち打ち)の症状固定については,どのように考えるべきでしょうか。

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A.

公にはされていないのですが,損害保険会社(共済)は症状固定を症状「安定」と読み替えています。
そして,症状安定とは同様の治療が2,3ヶ月続いており,それ以上の改善が見られないことを指していると解釈しているようです。
ですから,診断書や施術証明書等の記載が,どうなっているかが重要なのです。

1 症状固定というのはどういう時に使われますか(クリックすると回答)

症状固定は,本来は治療効果が認められなくなった状態であって,後遺障害を前提とする「ことば」です。
しかし,現実には頚椎捻挫(むち打ち)に関しては損害保険会社(共済)が治療費の支払いを打ち切る「ことば」として用いられている傾向があります。
ですから,症状固定として後遺障害申請をしても,結局は非該当ということがよく起こるのです。

2 症状固定というのは保険用語としてはどういうことですか(クリックすると回答)

保険用語というのは,損害保険会社(共済)の使い方という意味です。
頚椎捻挫(むち打ち)は他覚的所見がない自覚症状(特に痛み)のみと言うものが大半です。
ですから,専門家や公的文書で難しく説明している労災基準との関係よりも次の「ことば」の方が理解しやすいかと思います。
少し,要件に分けて述べていきます。
①その時点まで十分な治療がなされたと損害保険会社(共済)が考えている.

②診断書・診療報酬明細書,施術証明書・施術費明細書から見て最近(あるいは受傷直後から)2,3ヶ月は対症療法に終始していて症状が「安定」している。
③今後新たな検査や治療の予定がない .

対症療法というのは,原因に対する治療ではなく症状の軽減を目的としたものです。
そして,頚椎捻挫(むち打ち)はヘルニア等で切除術・固定術といった手術を予定しているレアな場合を除いては,ほとんどが対症療法です。
したがって,頚椎捻挫(むち打ち)の場合には安静期を過ぎて2,3ヶ月の治療期間を過ぎてくると常に症状固定(安定)とされる状態にあるといえます。

3 どのような場合に症状固定とされやすいでしょうか(クリックすると回答)

症状固定というと,固定ということばから回復が困難という被害者としても納得をしているような場合を想像するかもしれません。
もちろん,そのような場合もあります。
しかし,頚椎捻挫(むち打ち)は,症状固定を症状安定と読み替えることから次のような記載が診断書にあると症状固定とされやすいと言えます。
なお,以下の事柄が現実に当てはまるならば後は自然治癒に任せるという選択をすべきです。
もちろん,治療をされている医師等と相談の上ですが。
しかし,事実と異なったり誇張があるのであれば患者として訂正を求めるべきではないでしょうか。

○改善傾向にある
○まだ痛みは残るが,天候・温度・湿度次第で軽減(緩解)したり増悪したりする
○動作時(運動)痛のみが残る
○仕事に復帰したが体を動かしたため痛みがぶり返した

4 情報の開示を考えるべきです(クリックすると回答)

被害者は医療機関あるいは接骨院(整骨院)の当然ながら患者でもあります。
ご自分の治療に関してどのような記載が診断書・施術証明書等に記載されているのか,驚くほどご存知ない方が多くいます。
実際には,最後まで知らない方が大半かもしれません。
特に,損害保険会社(共済)からの一括払い制度によって治療費用が支払われている場合には,関心を持たないのも無理のない話かと思います。
しかし,それらに記載された何気ない一言で足下をすくわれることもあり得るのです。
そして,情報の開示は損害保険会社(共済)に対してもできますし,ご自分の情報ですから,個人情報開示等でチェックしておくことが重要です。

何か,トラブルが発生してしまったときにホームページを検索して交通事故に詳しい弁護士を慌てて探すことよりも事前にご自分の情報を入手することの方が重要ではないでしょうか。
大げさな広告宣伝を打ち上げている交通事故に詳しい弁護士さんも時計の針を戻すことはできないでしょうから。
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