Q.FA-SPM画像とは何ですか。また何が分かるのですか。

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A.

FA-SPM画像とは他のMRIやPETによる画像を数学統計的に処理して得られた画像ないしは解析結果です。
FA値の有意な低下域があるとは,白質(神経線維ないし神経線維束)の損傷を示します。

しかし,これがMRI・CTといった形態画像で所見がない場合に,取って代わる外傷性脳損傷の証拠と現時点でなるとは言えません。
形態画像に所見がある場合における補助的資料にとどまるものです。

従って,意識障害が無いにもかかわらず,FA-SPM画像を根拠に自賠責の後遺障害認定申請をることはお勧めできません。

仮に,この画像を根拠にしても非該当になります。

また,裁判をしても,意識障害が無い場合には,非該当を覆すことは不可能と言えます。


1 FAとは
FA:fractional anisotropy は,異方性度あるいは異方性比率と訳します。
FAは,拡散過程の異方性の程度を表現する0と1の間のスカラー値(スカラーとはベクトルのような方向性を無視した概念ですね。)です。拡散(diffusion)とは,粒子,熱,運動量などが自発的に散らばり広がる物理現象です。
値が0であるとは,拡散が等方性があること,つまりあらゆる方向に対して制限されていない(あるいは均等に制限されている)ことです。
これに対して値が1であるとは拡散が一つの軸に従ってのみ生じ,他の方向に対しては完全に制限をされていることです。拡散テンソル画像でも出てきましたが,拡散制限がある,つまり異方性がある軸索(神経線維)と脳室内では自由拡散・皮質(神経細胞)は小範囲で自由拡散という脳内の水における拡散に関しての異方性の違いを利用するのです。

2 SPM:Statistical Parametric Mapping
「脳機能画像解析などで使われる多変量解析法」あるいは「統計的パラメトリックマッピング」と訳されているようです。
これはソフトウェアであり,fMRI(機能MRI)やPETによる高次機能局在研究を目的とした賦活検査の解析に広くつかわれています。健常者と比較して優位に低下(または上昇)した部位を,標準脳の横断面像や脳表像にマッピングすることができるのです。
このようにFA-SPMimageとは他のMRIやPETによる画像を数学統計的に処理して得られた画像ないしは解析結果です。

3 具体的には
「両側前頭葉深部白質,脳梁膨大部近傍にFA値の有意な低下域が存在します。」等と所見が出されます。
このような所見は,両側前頭葉深部白質においての脳損傷を示すものです。
さらに,脳梁(corpus callosum)とは,左右大脳半球を結合する白質(神経繊維束)です。そして,白質とは神経線維をいうから前頭葉深部白質とは,前頭葉の深部の神経線維を意味します
このようにFA値の有意な低下域があるとは,前頭葉の深部を含む神経線維,つまり脳損傷の存在を示しています。

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