Q.重症化する恐れのある頭蓋骨骨折は何ですか。

[円蓋部,粉砕骨折,複雑骨折,開放骨折,頭蓋底,頭蓋底骨折,頭蓋骨骨折]

A.

すべてが重症となるとは限りませんが,円蓋陥没骨折,頭蓋底骨折,そして円蓋線状骨折でも中硬膜動脈に骨折線が及んでいる場合,また,側頭骨骨折で内耳奥まで骨折線が及んでいる場合には重症化する危険があるとされています。

1 頭蓋骨の役割
頭蓋骨自体は,運動器ではありません。脳を保護する器です。従って,頭蓋骨骨折そのものでは重症化して障害が生じるわけではありません。
しかし,頭蓋骨骨折に伴って周辺の組織が損傷したりあるいは,衝撃によって頭蓋内血腫が生じたことで後遺症が残ることがあります。
さらに,骨折するだけの外力が加えられたのですから,脳の圧迫が起こり,それにより後遺症となる危険があります。

2 頭蓋骨及び頭蓋骨骨折の分類
骨のレベルで言うと,脊柱つまり背骨の上に頭蓋骨は乗っかっています。
背骨に接する部分が頭蓋底部です。そして一般に頭蓋骨というのは円蓋部と呼ばれます。円蓋とはドームのことです。
円蓋部は一つの骨なのですが,骨折の場合には特に顔面部について顔面骨折と言います。

次に骨折については,上の頭蓋骨の部位に併せて頭蓋底骨折,円蓋部骨折,顔面骨折(顔面骨折はさらに細かく,眼窩底破裂骨折等と呼ぶこともあります。)等と呼びます。
また,骨折線の形状によって,線状骨折,陥没骨折,粉砕骨折,縫合離開骨折等と呼びます。

3  円蓋部線状骨折
線状骨折としては,円蓋部に最も発生しやすいとされています。特に治療の必要がなく,保存的に骨癒合が起こり,重症ともなることはありません。
しかし,骨折線が中硬膜動脈溝を横断しているような場合には,それらの損傷で硬膜外血腫が起こることがあります。
また,新生児・乳児は骨形成が十分でないことから,線状骨折でも脳挫傷を生じて,さらに骨折線拡大を生じる進行性骨折を起こすことがありますので,注意が必要です。

4  陥没骨折(陥凹骨折)
円蓋部のみに見られるとされています。これは小児と成人で骨折の状況が異なります。
小児は,骨形成が十分でない代わりにまだ柔軟性があります。そこで,骨折はピンポン球をつぶしたような文字通りの陥没骨折となります。
しかし,成人は骨が固くなっており,その弾性が低く陥没骨折から,小骨片に分解した粉砕骨折となりやすいとされています。さらに悪いことに開放骨折になりやすく,その骨片が脳に達して脳挫傷を発生させる複雑骨折となりやすいとされます。この場合には,重症化の危険があります。そして,後遺障害としても脳損傷となり,高次脳機能障害あるいは,部位に応じての局所的な失語,失行,失認といった重度の後遺障害となるおそれがあります。なお,小児の場合には,発達障害となるおそれがあります。

5  側頭骨骨折
顔面神経麻痺のほか,内耳,耳小骨,鼓膜,内・外耳道,耳介,軟部組織の損傷が起こります。さらに髄液漏が生じることもあり髄液減少の原因ともなります。
症状としては,上記の顔面神経麻痺が代表的ですが,これには即発性のものと遅発性(受傷後24時間経過して発症)のものとがあります。遅発性の中には,受傷後10日ということも珍しくないとされています。
しかし,多くは経過は良好で改善することが多いとされています。
さらに,難聴,めまいを生じることもあります。特に迷路骨包に骨折線が入ると高度感音難聴となり得ます。

6 頭蓋底骨折(リンク)

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