Q.男性で妻が働いているために,家事をしていた場合の休業損害・逸失利益はどうなりますか。

[主夫,家事労働,家事従事者]

A.

男性でも主夫(家事従事者)としての扱いを受け,休業損害・逸失利益を請求することができます。
基礎収入額ですが,主夫も同様に家事労働の経済的評価から見て女子平均賃金とするのが大勢のようです。
但し,再就職のための準備中に主夫をしていたような場合には男子平均賃金とする可能性があります。

1 判例の考え方は,どうなっていますか。   (クリックすると回答)


他に職を持たず,家庭にいて家事に従事する者は,自ら家事労働に従事することにより,財産上の利益を挙げているものというべきであり(最高裁判所昭和44年(オ)第594号同49年7月19日第二小法廷判決参照。),としていることから,
男性で高齢者であろうとも主婦と同じ家事従事者として休業損害を受けることができると考えられます。

2 基礎となる収入額はどうなりますか。  (クリックすると回答)


女子の主婦については,産業計・企業規模計・女子労働者・学歴計の賃金センサス平均賃金で,全年齢あるいは年齢別が用いられるのが通常です。
これに対して,主夫も同様に家事労働の経済的評価から見て女子平均とするのが大勢のようです。

例えば,失業して求職中であり就労している妻に代わって家事をしていた男性については,女子全年齢平均賃金を基礎収入としているものがあります(京都地裁 平成17年7月28日判決 自動車保険ジャーナル・第1617号)。
あるいは,休業損害は女子全年齢平均賃金としながら,逸失利益は男子平均賃金としているものがあります(釧路地裁 平成26年3月17日判決 自保ジャーナル・第1922号)。
これは,症状固定前の治療期間中には再就職の蓋然性があったとは言えないことを理由にしています。
また,家事従事者に該当するかの判断で「専業主婦と同視できる程度の家事労働に従事していた」ことを理由にした上で,女子全年齢平均賃金を採用しているものもあります(横浜地裁 平成26年2月28日判決 自保ジャーナル・第1924号)。


そうすると,判決例の流れは,家事労働の経済的評価だけから見れば,男女の区別なく女子平均とするものの,主夫となるに至ったのが,再就職のための準備期間であり一時的なものである場合には失業者ではあるが家事をしていたとして男子平均を採用する可能性もあり得ると言えそうです。

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関係する判決例です。ご参照下さい。


男性を家事従事者として休業損害を認めた判決です(高齢者,月額18万円,症状固定まで)。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)

妻の介護を家事労働であるとして女性年齢別平均の8割を基礎に1850日間の休業損害を認めた判決です。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)>

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