Q.慢性硬膜下血腫は,交通事故によっても起こるものですか。その場合の症状,治療,後遺障害については,どうですか。

[慢性硬膜下血腫,高齢者]

A.

急性硬膜下血腫とは異なる病態で,受傷後2ヶ月から3ヶ月頃に症状が現れてくるものが多いとされています。早期に血腫が発見されて治療がおこなわれたならば,ほとんど問題なく治癒して後遺障害も残りません。

1 慢性硬膜下血腫とは
硬膜内面の外側被膜(外膜)とくも膜表面の内側被膜(内膜)に包まれた暗赤色流動性の血腫です。
急性硬膜下血腫のような単純に硬膜とくも膜との間に出血して形成された血腫ではありません。
また,急性硬膜下血腫との違いは,単純に急性か慢性かということではなく本質的に異なる病態に属します。

2 発生
軽微な外傷後3週間から数ヶ月で血腫が徐々に増大して,圧迫による症状が現れてくるものです。
つまりゆっくりと大脳表面の硬膜下に血腫がたまってくるものです。
受傷後2ヶ月から3ヶ月頃に症状が現れてくるものが多く,若年者よりも高齢者に多く見られるとされています。
また,発生原因については古くから研究がされていますが,未だに完全には解明はされてはいません。
20%の症例では外傷の既往がないものが含まれており,この点からも急性硬膜下血腫とは異なる病態です。

おおよその原因としては,軽微な外傷などの何らかの原因で硬膜下にごく軽い出血が起こり,その際にくも膜の一部も裂けて髄液と出血が混じり硬膜下にたまります。
それが凝固して止血しても再出血をして,それを繰り返すことによって血腫が増大すると言われています。

3 症状
初期症状は,頭痛です。
血腫の増大とともに血腫と反対側に片麻痺が生じて,その後に意識障害を呈してきます。急速に意識障害が生じることもあります。
頭痛が生じた場合には,CT撮影で血腫があるかを探る必要性があります。

4 治療
穿頭術により血腫を除去して,血腫腔を生理食塩水で洗浄した後に,血腫腔にドレーンを1日留置するだけで症状は劇的に改善すると言われています。
穿頭術とは,頭蓋骨に直径1.5から2㎝程度の小さな孔を開ける手術です。

5  後遺障害
頭蓋内圧亢進が長期間持続したり脳ヘルニアが生じて,脳損傷が起こってしまわない限りは予後は極めて良好であり治癒して後遺障害は残らないとされています。

 

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