Q.下腿骨骨折(脛骨骨折・腓骨骨折)の後遺障害(後遺症)等級については,どのようになっていますか。

[下腿骨,偽関節,可動域制限,脛骨,腓骨,足関節]

A.

足あるいは膝関節の機能障害(8級,10級,12級),
長管骨の変形治癒・短縮(8級,10級,12級),醜状痕(14級),
偽関節(7級,8級,12級),
さらに不幸にして下腿切断となれば5級となり得ます。

1 実例としてはどうですか。(クリックすると回答)


私ども事務所が担当致しましたAさんは,バイクで直進中に駐車場からいきなり出てきた乗用車に衝突されて,転倒しました。
その結果,右足の脛骨骨折・腓骨骨折,しかも足関節近くの遠位端骨折となりました。
約11ヶ月通院してリハビリに専念したものの,
可動域は足関節において右(背屈0度底屈20度),左(背屈10度底屈50度)と,右が左の2分の1以下となりました。

そのため,後遺障害10級11号「1下肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当することになりました。

2 下腿骨骨折とは,どのようなものをいいますか。(クリックすると回答)


下腿骨とは脛骨(☆1)と腓骨(☆2)です。

☆1=下腿部分を構成する2本の骨で内側(足の親指側)にあるもので体重のほとんどを支えます。太い方の骨です。
☆2=脛骨に対して外側(足の小指側)にあるもので様々な筋肉の付着部になっています。細い方の骨です。

脛骨の下端は内果(うちくるぶし),腓骨の下端は外果(そとくるぶし)を形作っています。

下腿は,そのまま外力にさらされる部位であるために直達外力による場合が多い上,被覆組織が薄いことから開放骨折になりやすいと言えます。


直達外力を受けると,脛・腓骨の高位部での横骨折や斜骨折を起こし,
介達(間接的な)外力を受けると,捻転骨折を起こします。

3 後遺障害(後遺症)等級はどうなりますか。(クリックすると回答)


①膝あるいは足関節の可動域制限を残すことがあり得ます。

強直(☆3)あるいは完全弛緩性麻痺(☆4)かそれに近いもの
=1関節の用廃(☆5)
→8級7号

可動域2分の1以下        
=1関節の著しい機能障害(☆6)
→10級11号

可動域4分の3以下
=1関節の機能障害(☆7)
→12級7号

☆3 強直=関節が全く可動しないか。またはこれに近い状態,つまり健側の可動域の10%程度以下(角度5°単位で切り上げて計算)に制限されたもの
☆4 完全弛緩性麻痺に近いもの=他動では可動するが,自動では健側の可動域の10%程度以下(角度5°単位で切り上げて計算)に制限されたもの
☆5 関節の用廃=主要運動のすべてが強直したもの
☆6,7 著しい機能障害あるいは機能障害は,主要運動のいずれか一方が制限されていれば良い。
なお,主要運動とは,屈曲・伸展です。

②長管骨(脛骨・腓骨は長管骨)の変形治癒・短縮下腿骨の骨癒合不全のために変形治癒あるいは短縮の後遺障害が残ることがあります。
長管骨に変形を残すもの→12級8号
短縮が5㎝以上→8級5号   
短縮が3㎝以上→10級8号
短縮が1㎝以上→13級8号

③偽関節
ア「偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの」→7級9号
要件としては,「著しい運動障害を残すもの」とは常に硬性補装具を必要とするものを言います。
その上で
(1)大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので常に硬性補装具を必要としないもの
(2)脛骨及び腓骨の両方の骨幹部等に癒合不全を残すもので常に硬性補装具を必要としないもの
(3)脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので常に硬性補装具を必要としないもの

イ「偽関節を残すもの」→8級8号アの癒合不全がありますが,常に硬性補装具を必要とはしないものをいいます

④下腿切断慢性骨髄炎を発症して,それが治癒せずにやむをえずに下腿切断となることがあります。
1下肢を足関節以上で失ったもの→5級5号



⑤下肢醜状痕下腿前面は筋肉等の皮下軟部組織が乏しいために皮膚や皮下組織が壊死してしまい欠損する可能性があります。

その被覆ができたとしても下肢に醜状痕を残すことが多いとされています。
手のひら大以上の醜状痕→14級5号

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