黄色点滅信号は赤点滅信号に優先するものではないとした判決です。

[一時停止,交通整理,点滅信号,赤色点滅,過失割合,黄色点滅]

点滅信号交差点における黄点滅の被害車と赤点滅の加害車の出合頭衝突について,点滅信号交差点は道路道交法上の交通整理に当たらないとしました。
黄点滅が赤点滅に優先するのではないので,被害車両も徐行すべき義務があったとしました。
考え事をして信号にすら気づかない被告に著しい過失があるのに対し,被害車両の過失を20%として過失割合を決めました。
名古屋地裁 平成23年4月1日判決
事件番号 平成21年(ワ)第5333号 損害賠償請求事件(確定)
<出典> 自保ジャーナル・第1853号
(平成23年9月8日掲載)


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なお詳細は続きをご覧ください。

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1 該当する判決部分は (クリックすると回答)

(1)一般論部分
赤色点滅信号,黄色点滅信号は,交互に一方の交通を止め他方の交通を通す方式にあてはまらないので道路交通法にいう「交通整理」に当たらないと解され,また東西道路は優先道路ではないところ,本件交差点は見通しが悪いから,原告花子は,本件交差点に進入するに際しては,徐行すべき義務があった(道路交通法42条1号)。

(2)具体的な被害者の過失
それにもかかわらず,原告花子は,本件交差点に進入するに際し,交差道路の交通に注意せず,衝突されるまで原告車に気がつかず,また,徐行せず時速約30㌔㍍で本件交差点に進入して本件事故を発生させたのであるから,本件事故の発生について,他の交通に注意して進行すべき義務及び徐行義務に違反した過失がある。

(3)結論
双方の過失からすれば,特に,被告は,考え事をして信号にすら気づかないほどの著しい前方不注視があり,そのために赤色点滅信号に従って一時停止することなく本件交差点に進入して本件事故を発生させた。だから,原告花子に比してはるかにその過失は重いというべきであり,本件事故における過失割合は,原告花子20%,被告80%と評価するのが相当である。

2 どんな交差点か (クリックすると回答)

南北道路は,南から北に本件交差点に向かって100分の7の登り勾配になっている。
本件交差点の南東は梅畑であり,同梅畑と南北道路との境には,本件交差点手前の停止線より少し手前(南側)あたりから15.6㍍にわたって,上に高さ0.9㍍の金鋼フェンスがのったコンクリート塀が設置されている。コンクリート塀は南端が高さ1.1㍍で南北道路の勾配に合わせて北に行くほど低くなる台形である。本件交差点付近は,このコンクリート塀があるため,本件交差点に向かう車両にとって,南北道路からは右側の,東西道路からは左側の見通しが悪い。
本件事故現場は,一灯式信号の設置された十字路交差点(本件交差点)であり,被告車側(南北道路)は赤色点滅信号,原告車側(東西道路)は黄色点滅信号の規制がされていた。

3 本件の事故状況は (クリックすると回答)

被告は,被告車を運転して南北道路を本件交差点に向かって時速約40㌔㍍で北進していた。
被告車から右側の見通しは,別紙見取図1の南北道路のPの地点から東西道路のPの地点までが視認できるという状況である。
被告は,別紙見取図1①の地点で考え事を始め,前方不注視となり,対面の赤色点滅信号や本件交差点の存在を見落とし,同②の地点で約12.5㍍離れた同アの原告車に初めて気がつき,危険を感じて急ブレーキをかけたが間に合わず,同③の地点で被告車の前部を原告車の左ドアに衝突させ(衝突したのは同×の部分),同④の地点で被告車は停止した。

原告車は,被告車に衝突された後,同④の地点で停止した。
原告花子は,原告車を運転して東西道路を本件交差点に向かって時速約30㌔㍍で西進していたが,別紙「交通事故現場見取図2」(以下「別紙見取図2」という。)①の地点で黄色点滅信号を認識し,同②の地点で左右を見て,同③の地点で初めて被告車に気がついたが,同地点で被告車に原告車左側の×の位置に衝突され,同④で原告車は停止した。原告車から左側の見通しは,同Pの地点から同P1の地点までが視認できるという状況である。

4 コメント (クリックすると回答)

黄点滅と赤点滅の交差点の過失割合はどうなるのか,よく問題となるところです。
点滅信号は,交通整理にはあたらないとして,信号の色を抜きにして判決は出されました。
交差点及びそれに至るまでの双方の道路形状と事故に至るまでの運転状況から判断すると言えます。

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